歌うセラピストトレーナー
リンパスクールドリームヒント 校長
加藤琉魅子です。

以前、私自身が体験した肩の石灰化について
【実録】校長、石灰化の痛みを体験する!
というコラムを書きました。

この記事は3年以上経った今でも
ドリームヒントのコラム人気第1位です。

これだけ多くの人が興味を持って
読んでくださっているということは
どれだけ多くの人が石灰化に苦しんでいるか
ということです。

裏返せば、セラピストにとっても
石灰化の痛みを抱えたお客様が来店される可能性が
あるということではないでしょうか?

今回は、前回のコラムでご紹介した実例はもちろん
石灰化と言う症状に対して
セラピストにできることを考えてみます。

セラピストはお客様の石灰化にどう向き合うか

セラピストの皆さんは
来店されたお客様が石灰化とまでは仰らなくても
「肩の痛み」という症状を訴えられた経験が
あるのではないでしょうか?

まずは、セラピストとして
石灰化のお客様との向き合い方について
考えてみたいと思います。

石灰化とは?

そもそも石灰化とは
どういうものなのでしょうか?

石灰化とは

身体の中に過剰に放出されたカルシウムが
体内の細胞に蓄積したり
酸化で損傷した血管や内臓に沈着した状態です。

 

レントゲン撮影すれば
白いモヤモヤしたものが写り
目で見てはっきりと確認できます。

これが石灰です。
はまな整形外科クリニックより

身体の中のあらゆる場所で起きる可能性があり
筋肉や傷ついた血管心臓にまで起こります。

私のように肩の筋肉に沈着した場合もそうですし
再び骨に沈着して変形性膝関節症を起こせば
強烈な痛みを伴いますが

血管や内臓に溜まった場合は
痛みを感じることはほとんどありません。

その場合痛みはありませんが
血管では動脈硬化を引き起こし
アルツハイマーや糖尿病の原因になることもある
危険な状態です。

石灰化の原因

石灰化の原因は身体の中に

過剰に放出されたカルシウム

ですが、実はそれは
カルシウム不足から起きることなのです。

血液や細胞内のカルシウム濃度は、わずかな狂いが生命の存続にかかわるため、カルシウム不足によって濃度が低下すると、骨中のカルシウムを血液中に放出し、濃度を保とうとする働きが起こります。

(…略)

骨から血中へカルシウムが放出される血中のカルシウム濃度を一定に保とうとする働きにより、過剰なカルシウムは体中の細胞に蓄積されたり、酸化で損傷した血管に沈着します。カルシウム不足が、結果的にカルシウムの洪水を引き起こしてしまうこの現象を、「カルシウム・パラドクス」といいます。

年齢研究所HPより抜粋

つまり石灰化とは
カルシウムが多すぎるのが原因ではなく

カルシウム不足が原因で骨からカルシウムを放出しすぎて
身体の中に余ってしまったものが細胞に蓄積されてしまって起こる

ということなのです。

体液循環と排泄

残ってしまったカルシウムを捨てる
と言うことができなかったために起こった

ということは
血液やリンパ液などをはじめとする

体液循環の悪化排泄がきちんとできていないことも
石灰化の要因のひとつだと考えられます。

サロンでの石灰化への具体的な対応例

それでは、石灰化をかかえたお客様に対して
セラピストができることはどんなことがあるでしょうか?

具体例で見てみましょう。

ドリームヒントのお客様の場合

私のサロンのお客様の中で
石灰化で印象に残っているのは
五十代の女性の方です。

お客様がご来店された際に
お聞きした症状は以下の通りです。

症状ヒアリング:

  • 半年以上前から肩が痛い
  • 寝返りが打てず夜も眠られない
  • 腕が前後に上がらない
  • お布団の上げ下ろしができない

診断の有無:

  • 整形外科で「石灰化」と診断済み
  • 神経ブロックの注射を数回受ける
  • 注射を受けてもまたすぐに症状が現れる

お話をお聞きしていて、長く続く痛みのために
神経が過敏になっている様に感じましたが
炎症は無いようでしたから
背中全面のトリートメントをご提案しました。

 

40分ほどのリンパトリートメントが終わると
すっかりリラックスされて痛みも和らいでいました。

痛くて固まっていた腕が
前後に少し上げられるようになっていました。

お客様は大変喜ばれて
それからしばらく通っていただいて
お布団も上げ下ろしできるようになりました。

 私自身の体験

私自身の石灰化の体験は
幸い長期にわたることはありませんでした。

【実録】校長、石灰化の痛みを体験する!
詳しく紹介していますが
症状は以下の通りです。

自覚症状:

  • 朝、目覚めた瞬間右肩に激痛
  • 場所は肩というよりは腕の付け根(三角筋の上)
  • 肘を曲げていれば痛みは和らぐ
  • 腕を伸ばしたまま前や横に上げようとすると痛い
  • 手を着いたり、洋服の脱ぎ着もままならない

病院での診断内容:

  • 右肩の後ろ側の骨頭にカルシウムの石灰化
  • 飲み薬と湿布薬を一週間分処方される

痛みを感じた朝に整形外科を受診し
肩の石灰化との診断を受けました。

病院から帰って、たまたまイベントの練習会があり
肩リンパトリートメントのモデルを2回受けただけで
薬を飲む間もなく、痛みが消えてしまいました。

 

これは大変珍しい例だと思いますが
たまたま痛みが起きた時
早いタイミングでリンパトリートメントを受けたことで
溜まっていたカルシウムが流れ易くなり
排泄を促してくれたのだと思います。

セラピストとして石灰化のお客様に対してできること

お客様のケースも、私自身のケースも
トリートメントとしての共通点は

  • 周りの筋肉を緩めた
  • リンパの流れを促した

ということでしょう。

これらのことから
石灰化のお客様に対してセラピストとしてできること
次の3点が上げられると思います。

石灰化のお客様に対してセラピストとしてできること

  1. お客様の楽な体制を見つける
  2. 痛む場所ではなく、周りの筋肉を緩める
  3. 排泄を促す

①お客様の楽な体制を見つけること

具体例でご紹介したお客様の場合には
長く続いた痛みにからくるストレスと恐怖心が強く

ベッドに肩が触れただけで
悲鳴をあげて飛びあがられる程でした。

そこでトリートメントの際には
肩とベッドの間に小ぶりの枕を噛ませました。

 

痛みが収まっている状態でのご来店がベストですが
そうでない場合も往々にしてあると思います。

そういった場合は、お客様の様子をよく観察しながら
少しでも痛みを我慢されている状態ではないか
しっかり確認をしながら

痛みを感じない体制を見つけること

がとても重要です。

くれぐれも、痛みがあるのを
無理やりベッドに横にしたり
そのまま長時間のトリートメントを行うことは
避けたほうが良いでしょう。

②痛む場所ではなく、周りの筋肉を緩める

セラピストの中には、症状の改善を目指すあまり
無理にトリートメントを行って
かえって症状を悪化させてしまったり
別の場所に痛みが発生してしまう場合が多々あります。

痛む箇所に直接触れない

と言う原理原則を必ず守りましょう。

 

身体に痛みがある場合
痛みがある箇所をかばって
他の箇所が無理をしている事も珍しくありません。

そうした場合を考慮して
痛みのある箇所を支えている
その周りの筋肉をしっかりと解すことで

完治までの間に起こる二次障害を予防することは
セラピストにも十分お手伝いできる部分です。

③排泄を促す

骨から放出されて使われなかったカルシウムは
不要な物質なので、なるべく早く
体外に排出する必要があります。

 

関連する箇所だけでなく
全身の血流が良くなる様にトリートメントします。

また、トリートメントを受けることで
たった一時でもリラックスしていただくだけでも
十分に血流改善の効果が期待できます。

体液循環が良くなり
リンパの流れも良くなることで
カルシウムを体外に捨てる手助けをするということも
忘れないで欲しいです。

石灰化に対してセラピストが目指すゴール

石灰化を繰り返さないために

石灰化は遺伝的要素や生活習慣から見ても
繰り返すし起こることの多い症状のようです。

まずは、根本原因である
カルシウム不足を起こさないように
食事からカルシウムを摂取することが大切です。

そしてもう一つは排泄です。

手前味噌ですが、リンパトリートメントを受けることも
有効な排泄方法のひとつです。

セラピストとして、これらの点で
お客様に意識付けをしていくことも
大切なお仕事のひとつだと思います。

お客様とセラピストの共通目的

私はリンパスクールで生徒の皆さんに
毎回口うるさく言い続けていることがあります。

 

セラピストは、病気の治療や
症状の改善を目的にしてはならない

 

それは、今回ご紹介した石灰化についても
肩こりや頭痛、膝や腰の痛みと同様です。

 

トリートメントを受けていただけば
どんな症状の方でも
何らかの変化が見られることでしょう。

でもそれは
セラピストが何か特別な力をもって
お客様に対して働きかけたからではない
ということです。

 

セラピストが目標とするのは、あくまでも

人間の身体が本来持っている、健康に生きる力
生命を維持するためのシステムが正常に働くための
手助けをすること

なのです。

お客様が、はっきりとした症状を訴えられた場合は
そうしたセラピストの目的を穿き違えない様に
常に気をつけていて欲しいです。

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