こんにちは。年内のスクール営業も終わり、少しホッとしている劉です。前回は価格表示について書かせていただきましたが、みなさんの増税対策はすすんでいますか?当校では増税対策とは別に、2014年は新たな事業が続々と控えていて、少々浮き足立っています。

さて、今年最後のコラムになる連載最終回の今回は、年内にするべき事『STEP3:駆け込み需要の販促』についてです。既に残り4日となってしまいましたが、この秋に消費税増税が決定すると同時に、これまでは当たり前だった広告が出来なくなってしまいました。消費者としてよく目にしていただけに、駆け込み需要を掴む為に無意識のうちに法を犯してしまう危険性がありますので、それも含めて広告表示上の注意点についてお話させていただきます。

おうちサロンと販促

おうちサロン経営者の多くが『お友だち顧客』からスタートします。もちろんこれは悪いことではありませんし、お友だちだからこそ何の販促もしないで定期的に通ってくれます。では、おうちサロンなら『販促』は不要なのでしょうか。

大手や中小企業が展開するサロンの場合、キャンペーンクーポンなどで割引をする『販促』が一般的です。私自身、長年広告に携わってきましたので、ドリームヒントでも初期の頃はそうしたキャンペーンやクーポンを主な販促として利用してきました。ただ、残念ながらそうした価格競争の末につかまえた顧客は、ほとんど定着せず1回こっきりの顧客になっていました。

また、通りがかりの一見さんや、俗に言う『クーポン荒らし』など価格だけでサロンを選ぶ顧客は、自宅で営むおうちサロンには逆にリスクが大きい顧客となります。また逆にそうした顧客にとっても、大手や中小企業の様に何店舗もあるサロンと同じ価格帯ならば、おうちサロンは魅力的には写りません。

そこで私がドリームヒントの販促でよく使う手が『きっかけ販促』です。これは、価格を下げるのではなく、顧客に来店のきっかけを作るための販促です。お友だち顧客の場合、既にサロンとの間に確固たる信頼がありますので、派手な値引きやキャンペーンではなく、しばらく遠のいていた方に思い出してもらい顔を見に来ていただく為のきっかけづくりをします。

増税を『きっかけ』に使う危険性

ところが、この『きっかけ販促』は今回の増税の駆け込み対策には不向きです。実は今回の増税に伴って成立した新たな法律『消費税転嫁対策特別措置法』が、この『きっかけ販促』をやりにくくしています。

この法律に関しては、商工会議所で配布されていた冊子『消費税の転嫁対策特別措置法 5つのポイント』を基にご紹介します。販促に大きく影響する部分としては、冊子の7〜8ページに分かりやすく記載されています。

消費税の転嫁対策特別措置法 5つのポイント(P.7〜8)

そうなんです。

『消費税に関連するような形での
安売り宣伝や広告を行うことが禁止されています!』

— 日本商工会議所『消費税の転嫁対策特別措置法 5つのポイント』より

と言うことは、例えば

『消費税還元キャンペーン!』

とか、

『消費税分ポイントを付与!』

ましてや、

『消費税は当店が負担します!』

なんてもってのほか!これまであらゆる小売り業界でやりつくされて、私たちがよく目にしたことのあるうたい文句が全て違法となりました。それでもつい使ってしまいそうになる今回の『増税きっかけ販促』、とにかく大事なのは

消費税を払う必要が無いと思わせることはしない

と言うことです。では実際に、どんな方法があるのでしょうか?

上手な駆け込み需要の販促法とは?

先にもお話しましたが、とにかく『増税きっかけ販促』自体がとても危険です。そんなリスキーな事は始めからしない方がマシです。

が、増税は全ての消費者にとって大きな共通意識。販促はこの共通意識を利用することが一番簡単で、こんなチャンスは滅多にありません!では、おうちサロンでするとしたら、駆け込み需要の販促法は無いのでしょうか?

【IDEA#1:季節キャンペーンにからめる】

とにかく『増税きっかけ』でなければ良いんです。増税は来年度からですので、年末年始や年度末にかけたり『春の○○キャンペーン』でも良いでしょう。割引率が消費税分だったとしても、それが『消費税』に直結しなければ大丈夫な様です。

【IDEA#2:メニューを内税表示にする】

来年度からの内税金額(増税分の価格を上げた)メニューを増税前に知らせることで値上げ前にご来店を促します。これはサロンによってタイミング的に難しいところもあるかもしれませんが、消費税分を全く転嫁しない経営は逆に問題がありますので、これまで通り内税表示のままで額面上の値上げをした上で、それを伝えるタイミングを通常よりも早くする事がポイントです。この手法は増税だけでなく、何らかの理由で値上げをせざるを得ない状況に陥った際によく使う方法で、昔から多くの業界で使われています。

因に、消費税以外にも東京オリンピックの便乗広告もJOC(日本オリンピック委員会)やIOC(国際オリンピック委員会)の許諾が必要になりますので、注意してください。詳しくは日本広告審査機構のトピックでご確認ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の連載では、消費税増税前にするべき事を順番にご紹介してきました。そのお陰でドリームヒントでも後手後手にまわることなく増税を迎えられそうです。

年末年始はお年賀ご挨拶など、特にお友だち顧客への販促がしやすい季節です。これをきっかけに、お友だち顧客から一人でも多くの『ご紹介』をしていただければ、毎年少しずつでもお客さまを増やすことができます。派手なキャンペーンやクーポンではなく、まずはご自分の足下から始められてはいかがでしょうか。

2013年もあと3日となりました。来年がみなさんにとって、更なる飛躍の年になる事をお祈りしています。